焙煎機の前で考えていること

豆と向き合う時間

焙煎機の前に座る。
生豆を投入する瞬間、いつも少しだけ緊張する。

同じ産地の豆でも、収穫の年によって、保管の状態によって、表情が変わる。
だから毎回、豆の声を聞くようなつもりで火を入れる。

煙の匂い、爆ぜる音、色の変化。
数字だけでは測れない部分に、いちばん神経を使っている。

待つこと、急がないこと

焙煎という作業は、正直に言うと地味だ。
派手な工程はなく、ただじっと豆の変化を見守る時間が続く。

早く終わらせたい気持ちが顔を出すこともある。
けれど、焦って火を強めると、豆は正直に応える。
苦みだけが立って、香りの奥行きが消えてしまう。

キッチンカーの仕事も同じだと思う。
お客さんとの関係も、出店先での信頼も、急いで作れるものではない。
待つ時間があるからこそ、ちゃんとしたものが残る。

一杯の向こう側にいる人

焙煎した豆が、誰かの朝の一杯になる。
その先の景色を、作業をしながらよく想像する。

出店先で「これ好きです」と言ってくれた常連さんの顔。
初めて立ち寄ってくれた人が、少しほっとした表情になる瞬間。

顔の見えない相手ではなく、あの人この人を思い浮かべながら焙煎すると、不思議と手つきが変わる。
効率よりも、その一杯にふさわしいかどうかを優先したくなる。

焙煎機の前で、また明日を考える

今日も一釜、また一釜と焙煎を重ねる。
完璧な一杯にたどり着いた日はまだない。

それでも、この地味な繰り返しの中に、キッチンカーという仕事の核があるように感じている。
派手さはなくても、丁寧に積み重ねたものは、ちゃんと伝わる。

明日はどんな豆と向き合うだろうか。
焙煎機の前に座るたびに、そんなことを考えている。

自家焙煎コーヒーライフ/ライフさん
ライフさんのブログ投稿日:火曜日&木曜日20時

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