今日はどこで淹れようか

朝、地図を広げる

エンジンをかける前に、いつも少しだけ迷う。

浜松にしようか、磐田にしようか。 掛川の風を感じたい日もあれば、袋井の静けさが恋しくなる日もある。

天気、季節、なんとなくの気分。 決め手はいつもささやかなものだ。

でも、この「どこで淹れようか」という一瞬の迷いこそが、キッチンカーという仕事の醍醐味なのかもしれない。 決まった場所で、決まった人を待つのではなく、こちらから会いに行く。

選ぶ理由

場所を選ぶとき、「今日はあの通りに光が差しそうだな」 「あの公園には、そろそろ紅葉が始まっているかもしれない」

そんな小さな予感を頼りに、行き先を決めることが多い。

効率だけを考えるなら、いつも同じ場所に停めた方がいい。 けれど僕は、毎回違う景色の中で、違う一杯を淹れたい。

同じ豆でも、淹れる場所が変われば、味の感じ方も少し変わる気がしている。 それはきっと、気のせいではないと思う。

キャンプ飯という原点

もう十年以上、キャンプを続けている。

焚き火の匂い、湯気の立つケトル、静かな夜に淹れる一杯のコーヒー。 あの時間の心地よさを、日常の中にも届けたい。それがこの店のはじまりだった。

だから今日も、キャンプ飯からヒントを得たメニューを積んで、街に出る。

外で食べる一皿は、家で食べるものと同じ材料でも、なぜか特別な味がする。 きっとそれは、空気や景色ごと味わっているからなのだろう。

一杯の先にあるもの

その日、その場所でしか出会えない人がいる。

一度きりの出会いかもしれない。 それでも、その一杯が誰かのその日を少しだけ良くできたなら、それでいいと思っている。

一期一会という言葉を、この仕事を通してようやく実感として理解できるようになった。

今日はどこで淹れようか。 その問いを楽しみながら、これからも街を巡っていきたい。

自家焙煎コーヒーライフ/ライフさん
ライフさんのブログ投稿日:火曜日&木曜日20時

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